細菌感染によって生じる「丹毒」と「蜂窩織炎」
丹毒(たんどく)と蜂窩織炎(ほうかしきえん)は細菌が皮膚に侵入して生じる感染性の皮膚病です。
丹毒は皮膚の比較的浅い層である「真皮」に感染が生じ、蜂窩織炎は「真皮」のやや深層から皮下組織(皮下脂肪組織)に感染が生じます。
厳密には両者が区別しにくいときがあります。
丹毒
丹毒はおもに顔(とくの頬)に生じ、形のはっきりした赤い発疹が広がります。
触れると痛みがあり、熱感を伴います。
発熱、全身倦怠を生じ、腎炎に至ることがあります。
原因は溶連菌の感染によるものが多く、ペニシリン系、セフェム系の抗生物質の全身投与(内服か点滴)で治療します。
蜂窩織炎
蜂窩織炎は左右一方の下腿に生じることが多く、ときに上肢や顔にもみられます。
患部は腫脹し、熱感、痛みがあります。
丹毒に比べてやや範囲が広く、周辺の健常部との境界がはっきりしない傾向があります。
原因は黄色ブドウ球菌のことが多く、ときに溶連菌が原因になることもあります。
抗生物質の全身投与にて治療します。
基礎疾患がある方は要注意
糖尿病など基礎疾患がある方は丹毒、蜂窩織炎になりやすく、重症化するリスクも比較的高いとされます。
丹毒は腎炎に至ることもありますし、蜂窩織炎は壊死性筋膜炎または敗血症という重篤な感染症になる恐れもありますので、早めの受診、早めの治療開始が大切です。
当院の治療
軽症の場合は抗生物質を処方し服用していただきます。
必要に応じて血液検査を行い、病勢を把握します。
症状が強い場合は点滴治療も考慮します。
重症患者さんは地域の医療機関と連携して対応
症状が重い場合は入院の上で抗生物質の点滴が必要になることがあります。
より重症の壊死性筋膜炎への病状の進展も考慮しなければならないこともあります。
必要な場合はより高度な治療が可能な地域の医療機関を紹介させていただくことがあります。