- かゆくて眠れない。
- 仕事や勉強に集中できない。
- 赤くなった皮膚を人に見られたくない。
- いつ治るか分からず、不安だ。
湿疹の患者さんから、毎日こうした悩みをお伺いします。
当院を受診される患者さんの悩みの中で、もっとも多いものは「湿疹」です。
「湿疹(皮膚炎)」は、不快でつらい「かゆみ」を伴う皮膚の病気です。
ありふれた皮膚病ですが、わたしたちの健康的な生活を損なうという点では、他の様々な病気に劣らない困った病気です。
この、やっかいな湿疹・皮膚炎をちゃんと治し、明るく快適に生活していただくことは、皮膚科医院の最大の使命です。
たかはし皮膚科クリニックでは、「湿疹・皮膚炎をちゃんと治す」ことに最大限の努力を払っています。
かゆい湿疹が出来てしまった方、いつまでも湿疹が治らず悩んでいる方は、「たかが湿疹」と放置せず、ぜひ当院にご相談ください。
湿疹・皮膚炎とは?
湿疹とは、痒みを伴う赤い面(局面といいます)、赤いポツポツ(丘疹といいます)、小さな水ぶくれ(小水疱といいます)などが皮膚に生じた状態です。
症状が慢性化してくると、皮膚科硬くゴワゴワしたり(苔癬化といいます)、黒ずみ(色素沈着といいます)が生じたりします。
強い痒みが続くことで、掻くことが止められず、掻くことが湿疹の症状を悪化させ、長引かせます。
何らかの外的因子、内的因子が関わって湿疹は生じます。
植物、日光、化粧品、石鹸類など、皮膚の外側から刺激が加わることで生じる場合と、摂取した薬剤や食品、体調、皮脂、汗など体の内側に原因があって生じる場合があります。
さらに内的、外的因子が複雑に関わって生じる場合もあり、原因の特定が困難になることもあります。
本来、人間の体には「免疫」と呼ばれる異物を排除する仕組みがあります。内的、外的因子に対して生じた免疫反応が皮膚に障害を引き起こした状態が、湿疹・皮膚炎であると言えます。
また、湿疹が慢性化する大きな原因に、「itch-scratch cycle(イッチ・スクラッチ・サイクル)」があります。
かゆいから掻く、掻くから湿疹がこじれてかゆくなる、を繰り返す現象です。
すでに湿疹を引き起こした最初の原因はなくなっているのに、掻いてしまうことが湿疹から離脱できない原因になっている患者さんが多数いらっしゃいます。
薬物治療
ステロイド外用剤
ステロイド外用剤は、皮膚の炎症を抑える効果的な治療薬です。
クスリの種類が多く、症状に応じて強さを自在に調整できます。
湿疹の状態や部位に応じて、軟膏、クリーム、ローションなどを使い分け、スムーズに治療することが出来ます。
ステロイド外用薬については、ときに「あまり使いたくない」と言われる患者さんもいらっしゃいますが、皮膚科医のもとで症状に応じて適切に使えば、副作用のリスクを最小限に抑えつつ、湿疹のかゆみから早期に解放しれくれる有効な手段です。
(くわしくは「ステロイド外用剤を正しく使う」をご参照ください)
※参考にステロイド外用剤以外の塗り薬にも触れます。
ステロイド外用剤とは種類が異なる、非ステロイド系の炎症止めの塗り薬があります。これは効果が弱い割に、かぶれを起こすことが多いので、最近ではあまり使われなくなってきました。
当院では、非ステロイド系の抗炎症薬を湿疹・皮膚炎の治療で使うことはありません。
抗アレルギー剤
抗アレルギー剤(抗アレルギー薬)にはかゆみを軽くする作用がありますが、湿疹そのものを治す作用はほとんどありません。
そのため、飲み薬だけで湿疹を治すのは難しいと言えます。
ステロイド外用剤で症状を抑える間、かゆみから患部を掻いてしまうことを減らし、かゆみの辛さから少しでも早く離脱していただくことが飲み薬を使用する目的です。
原因の探索、原因の除去
湿疹が体のどの部分に現れているか、どのような形で配列しているかは、原因を推定する大きな手がかりになります。
顔、頸部、手のみに湿疹が分布しており、衣服で隠れている腹部、背部に症状がない場合、外的な因子によるカブレ(接触性皮膚炎)を疑います。
左右対称に湿疹が広く分布し、衣服で隠れているところも、露出しているところも症状に差がない場合、内的因子の関与を強く疑います。
症状発生前の患者さんの生活状況、行動、食事などを詳細にお聞きすることも原因の推測に役立ちます。
当院では、湿疹を正確に診断し、原因を明らかにするため、診察の際には出来るだけ広い範囲の皮膚を診させていただきます。
湿疹の一部だけを診て、「他の場所もだいたい同じです」という患者さんの言葉のままに丁寧な診察を怠ると、正確な診断が出来ない可能性があります。それでは最終的に患者さんにも迷惑をかけてしまいます。
受診の際は、発疹のあるところは全て診察できるよう、肌を露出させやすい服装で来院いただければありがたいです。
掻かない!こすらない!
「掻いている湿疹は治りません!」
湿疹の患者さんに対し、いつも強調しています。
どんなに効果的な薬を使っても、掻き続けていれば湿疹は治りません。
ステロイド外用剤は「かゆみ止め」ではありません。
ステロイド外用剤は「かゆい湿疹を治すことで、かゆくない状態に戻す治療薬」です。
ですから、効果が現れるまでの数日間は痒みが残ります。飲み薬である程度かゆみを減らすことはできますが、「掻かない努力」も必要です。
治療の柱はステロイド外用剤
当院では症状を正確に把握したうえで、十分に効果的な強さのステロイド外用剤を使用します。
治療の初期段階で、ステロイド外用剤の副作用を恐れて不十分な治療をしてはいけません。
火事の炎にたっぷり放水するように、十分な効き目の薬をしっかり塗っていただきます。
そして症状の改善を見極めつつ、副作用が現れる前に薬の強さを調整して弱めていきます。
そうすることが副作用を最小限に抑え、湿疹のかゆみから早く解放されるコツです。
薬の調整は自己判断では行わず、皮膚病治療の専門家である当院医師に安心してお任せください。
またステロイド外用剤を治療の柱としつつ、補助的に保湿剤、抗アレルギー薬を併用し、スムーズに症状を抑えます。
原因の除去
十分な治療を行いつつ、原因の把握の努力も行います。
詳細な問診、診察から極力悪化因子を絞り込むようにしますが、現実には特定しきれない場合も少なくありません。
そうした場合は、ある程度悪化原因の可能性のあるものは、とりあえず使用を中止する、遠ざける、変更する、などの対応をお勧めしています。
また、原因がある程度絞り込めても、生活環境、職場環境の都合で完全に原因を排除できない場合もあります。
そうした患者さんには、薬を使いつつ、さまざまな工夫を組み合わせて、「症状と折り合いをつけながら生活する」コツを身に着けられるよう指導させていただきます。