診療内容

円形脱毛症

円形脱毛症とは

突然、頭皮などに数センチの脱毛班(毛が抜けた部分)が現われる病気です。

原因は詳細には分かっていませんが、「自己免疫異常」によるものと考えられています。

病原菌やウイルス、異物を排除して、健康を保つ仕組みである「免疫システム」に異常が生じ、毛髪・毛根に誤った攻撃が加えられ、毛が抜けてしまいます。

円形脱毛症のタイプ

円形脱毛症は症状によっていくつかのタイプに分類されます。

単発型

頭に脱毛班は一ヵ所存在する状態

多発型

脱毛班が複数存在する状態

全頭型

頭の毛のほとんどが抜けた状態

汎発型

頭も含め、全身の体毛が抜けた状態

蛇行型

頭皮の生え際に沿って、帯状に脱毛した状態

 

どんな診察、検査を行うか

問診

症状の経過、持病の有無、どんな投薬を受けているか、など患者さんからお話をお聞きし、判断材料にします。

ダーモスコピーによる診察

皮膚科診療用の拡大鏡で頭皮、毛髪の状態を観察します。

特長的な所見が確認できれば、ダーモスコピーによって診断は可能です。

血液検査

必要に応じて、甲状腺機能異常、膠原病、関節リウマチ、貧血などがないか検査を行うことがあります。

円形脱毛症以外の毛が抜ける病気

円形脱毛症以外にも後天的に毛髪が抜ける病気があり、それらとの区別が必要になることがあります。

抜毛症

自覚的、または無自覚的に自分の毛髪を抜いてしまい脱毛を生じる状態。

脱毛部と健常部の境目が不明瞭で、脱毛部も不完全にしか脱毛していないなどの特長があるが、ダーモスコピーによって詳細に観察しないと判断が難しい場合もあります。

男性型脱毛(AGA)

男性ホルモンの影響により、頭頂部から前頭部にかけて頭髪が徐々に細く、短くなり、薄毛が進行する状態。

休止期脱毛

ストレス、外科手術、感染症、出産などにより、毛根が一斉に「休止期」と呼ばれる状態に入ると、数週間後に脱毛を生じることがあります。数カ月から1年をかけて徐々に改善します。

その他

高熱を伴う感染症の後の生じる脱毛、栄養・代謝障害の後にに生じる脱毛
甲状腺機能低下症、膠原病に伴う脱毛
梅毒による脱毛

などがあります。

当院での円形脱毛症の治療法

ステロイド外用剤

脱毛部にステロイド外用剤を塗ります。

フロジン液(塩化カルプロニウム液)

緑色の液体の塗り薬です。血流をよくして症状の改善をうながします。

セファランチン内服

アレルギーを抑えることで症状の改善につながるとされます。

グリチロン内服

甘草と呼ばれる植物に含まれるグリチルリチンがアレルギー症状を抑えるとされ、日本では長く使われています。

 

当院では上記の治療法を行っています。

その他の(当院では行っていない)治療に関しては、院長ブログで紹介しています。

 

 

日ごろ気をつけること・知っておきたいこと

感染症の防止

インフルエンザなど感染症を避けるよう気をつけましょう。

アレルギー疾患のケア

アトピー性皮膚炎などアレルギー疾患を悪化させないよう日頃から気をつけましょう。

ストレスのせいとは限らない

ストレスとの関連は証明されていません。小児の円形脱毛症患者のご両親が「ストレスをかけすぎているのでは?」と自分を必要以上に責めるのは的外れかもしれません。