ふと気が付くと「しこり」が
皮膚の良性腫瘍(できもの)のうち、相談される頻度が多いもののひとつが粉瘤(ふんりゅう)です。
お腹や背中、四肢、顔、頭、耳など、全身のどこにでも発生する可能性があります。
最初は皮膚表面の近くの小さな「しこり」として気が付くことが多いようです。
やがて大きくなり、ときとして赤く腫れあがって痛みを発することがあります。
こんな構造
皮膚の中に袋状の構造物が出来ており、中身は垢(あか)状の物質が詰まっています。
中央部に皮膚表面とつながった開口部があり、無理にしぼるとニオイのする物質や液体が出てくることがあります。
粉瘤を表面から見ると、中央に小さな穴が見えることがあります。
よく患者さんから
「脂肪のかたまりみたいなモノですか?」
と聞かれますが、
『垢(あか)のようなものが詰まった袋状のできもの』
と言った方が実態に近いです。
通常は放置しても問題はないが…
腫れあがって炎症を起こしたり、極端に大きくなって生活に支障がないかぎり放置しても問題がないことが多いです。
しかし、その「しこり」が「粉瘤」なのかどうかは一般の方には判断が難しと思います。
気になる「しこり」がある方は、皮膚科か形成外科で相談するとよいでしょう。
取りたい(切除したい)場合は?
申し訳ありませんが、当院では粉瘤の切除手術は行っていません。
治療上必要な場合、ご本人が希望する場合、形成外科などの専門の医療機関を紹介するようにしています。
切除を前提としない場合で
「この出来物は良性?」
「放置して問題ない?」
「診断は?」
という疑問がある方はご相談ください。
画像診断(CTや超音波検査)などは行っていないので、視診、触診による判断になりますが、ある程度のアドバイスはできると思います。
化膿した場合は抗生物質の服用による治療
炎症を起こして細菌感染を起こしていると判断される場合は抗生物質を飲んでいただきます。
当院でも必要な場合は局所麻酔の上で切開排膿を行うことがあります。(出血の多い部位の場合などは形成外科に依頼します)
粉瘤自体は本来放置しても問題ないものですが、同じ粉瘤が繰り返し化膿するようでしたら最終的には切除を考えた方がよいでしょう。